| HOME | Stories of The Rain | 第四十二章 |

更新日 2015-08-06 | 作成日 2007-09-15

Stories of The Rain

夢見るころを過ぎても

第四十二章 おしゃれは紺に始まり紺に終わる?

written by Akio Hosokai

the-beatles-granger-1.jpeg寒い寒い屋外の喫煙所から暖かい事務室に戻ってくると、「あの~エアロスミスがなかったので、ストーンズを買ってきました」と言いながら、女子職員の一人が真っ赤な舌べろのステッカーを持ってきた。俺、以前に使っていたプレシジョンベースにはエアロスミスのステッカーを貼っていた。この際、ストーンズでもいいか。いつだったか、彼女に頼んでおいたわけよ。ありがと。因みにリードギターの屋代は、レスポールにサンタナを貼っている。心はいつもカルロスですってか?

「おしゃれは紺に始まり紺に終わる」というファッション業界の常識があるが、我々にも「ROCKは何々に始まり何々に終わる」というものがあるのだろうか。そういう意味では、俺にとっての「何々」はストーンズではない。エアロスミスでもないなぁ…
それに縛られるつもりは毛頭ないが、俺にとっての「何々」は、やっぱThe Beatles。

中学生の頃、ビートルズ派とローリングストーンズ派があった。どこが違うんだってか?
ああいう暴力的な楽曲を理解できない連中には同じような騒音として聞こえただろうが、俺にとっては違った。誤解を恐れずに言うならば、ビートルズは音楽的にはハーモニーを重んじた正統派であり、不良度は低い。それに対してローリングストーンズは自由奔放な音づくり。キースも人気はあるが正直ミックの一人舞台。不良度は高い。小学6年生までピアノでクラシックを弾いていた俺にとっては、ビートルズの方がマッチした。めっぽう狂いました。家具のように大きいステレオにへばりつくように、蚊の鳴くような小さな音で聴いていたはずなのに、親父には「うるさい!」と、ずいぶん怒られた。大人になって通った六本木の「キャバーン」というビートルズ専門ライヴハウスでは、「そっくりバンド」が演奏する曲のほとんどを、おいら、空で唄えたもんだ。

まっ、大げさに言えば、この二大バンドがROCKの最初の遺伝子のようなもので、その後いろいろな交配やら突然変異があって、この現在に至っているんだと思うぜ。

さて、そもそもBANDというものは、そういう「個人個人の価値観の集合体」ってことだ。
一方で、聴いてくれる方々にも、そういうコダワリがあるわけだし。The RainもLIVEの課題曲を決める時は、それなりに難しい作業があるわけよ。人間どうしても、好きなものにはのめり込むし、あまり好きでないものは手を抜くし。
「今年の選曲は最高でしたよ」と、去年のLIVEで、ゲストバンドの連中が言っていた。一方で「知らない曲が多すぎる」という意見があったことも事実。そこら辺と我々の技量を考えて課題曲を決めるわけだが、The Rain、まだまだ課題は多い。ただ今年のLIVEは、いつになくメジャーな曲を多くした。みんなが知っているから、真剣に練習せなあかん。