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更新日 2015-08-06 | 作成日 2007-09-15

Stories of The Rain

夢見るころを過ぎても

第三十四章 ねじまわし

written by Akio Hosokai

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「女房と畳は新しい方がいい」…誰が言ったか知らんが、もっともだ、あ~もっともだ。
しかしだな、ここまで齢を重ねてくると、必ずしもそうは思わない。新しいだけでなく、やっぱり質が重要だ。女房と畳もそうだが、質が問われるとすれば、それは「道具」だ。

俺は「スカG」に乗っている。R34。往年のSkylineとして開発された最後の型。初期登録は2001年。「まだ乗ってんのか!」と笑われそうだが、車を道具と言って良いなら、俺にとってR34は最高の道具。車としての諸元も悪くないが、とにかく俺は、R34が好きだ。庭でタバコを吸いながら眺めていると、海岸沿いの専用道路を疾走するR34が目に浮かぶ。だから時間がある時には磨いてやっているんだぜ。買い換えさせるために、古き良き車の重量税を20%も上げようとしている政府と官僚は、なんと心の寂しい人達なんだろう。

で、「道具」と言えばドライバー。安いのでネジヤマを回すと、ドライバーの方が変形してしまう。「ねじまわし」は決して安物を買ってはならね。覚えておいた方が身のためだ。

そうじゃない。楽器のことが言いたかったんだ。あい変わらず回りくどいねぇ、アンタは。

「道具」としての楽器。俺の場合、何台も買い換えて、今のは米国製のFender Jazz Bass。これは気にいっている。値段的には中の下だと思うが、けっこう良い音を出すし、カッコもいい。楽器の値段はキリがない。ただ悔しいかな、正直、高いヤツは音がいい。ほんと。
Stratovariusと他のバイオリンをプロの耳でも識別できないと報道されたが、我々が使うレベルの楽器だと、どんな耳にも違いが分かる。それほど、楽器は正直だ。演奏する方も「いい楽器を使っている」…という安心感が、その技量まで上げてしまう。
エレキ楽器はややこしい。楽器本体、アンプ、スピーカー、イフェクター、演奏の仕方の組み合わせや相性によって音が変わってくる。俺の場合、アンプとスピーカーがAmpeg、イフェクターがEBS MultiComp.+SansAmp Bass Driver DIの組み合わせの時に、最も気にいった音が出てくる。何の事はない、ごくごく一般的なシステムだけどね。
渋谷のスタジオは、Ampegは出力が小さすぎ、Trace Elliotoは飽きたという感じなので、ちょっと不満足。12月7日にLIVEをやった新宿メモリーズには、EBSが置いてあった。あまり見ないヤツだが、それなりに重くてクリアな音を出してくれた…と感じた。

昔々、四谷新道通りにあった三番叟という渋い飲み屋の書道家の常連が、「道具」の良さの例として中国の「筆」を熱く語っていたことを思い出した。「道具」が良ければ何でもOKとは言わないが、質の良い「道具」を手に入れて、そして何より、その「道具」を愛着が出るまで使いこなす努力をしたいものであります。以上、終わります。