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更新日 2015-08-06 | 作成日 2007-09-15

Stories of The Rain

夢見るころを過ぎても

第二十一章 When I’m Sixty

written by Akio Hosokai

iwanami.jpgそういえば前から「還暦!還暦!」と騒いでいたが、バンドメンバーの4/5が今年「還暦」を迎える。いやいや、メデタイコトダ。その「メデタイ奴ら」が生まれた1950年とはどういう年だったのか?朝鮮戦争勃発、金閣寺放火全焼、衣料切符制度廃止、「君が代」の演奏許可、第一回ミス日本山本富士子、映画は羅生門と細雪、歌は夜来香とイヨマンテの夜、本はチャタレイ夫人の恋人、ジェーン台風…。ふ~ん。ぜんぜん覚えてねえな。当たり前だな、こんなジジイでも当時はゼロ歳児だもんな。

そして、今年2010年、二大政党化の流れに翳りが見えて小党乱立、そのうち政界再編か。一般国民は、戦後の政治と行政が長い時間かけて育んできた格差社会という癌に、着実に蝕まれている。日本中、不条理感と閉塞感で息が詰まりそうだ。そんな中でのFIFA。日本、グループリーグ突破。トーナメント初戦に痛恨のPK戦で敗れたが、よくやったぜ。草食系ではない男。元気な若者。この日本にも、まだ生息していたんだ。感動したぜ。

そういう俺も、60歳になった。しかし、何だな。60歳になってみると、60歳というのは一つの通過点だと感じる。若い頃は「棺桶に半分足をつっこんで…」とか言っていたけど、なってみると、そんな感じはしないね。そりゃ「まだ若い!」とは思わないが、すっかり老いぼれて、どこかに隠居する気にはならねえ。若い姉ちゃんが「ねえ、今夜、ど~お?」なんて擦り寄ってきても、いつでもOKだぜ。ははは、冗談だよ。年増のご婦人だったらOKだけど。

The Rain…1971年に結成したわけだから、俺の60年の人生のうち40年を共に歩んできたことになる。2/3か。すげえな…。そのわりにはヘタクソだけど、そんなこたぁ関係ねえ。今までの俺の時間の横には、いつもThe Rainがいた。俺にとっては何よりも大切な宝物だ。
長年連れ添った女房とバンドって、もしかしたら、同じような感覚かなぁ?少しでも良い環境・関係を追求するし、マンネリにならないように努力する。正直言って、俺は女房に対しては何の追求も努力もしていないが、バンドに対しては、「やろう!」と思っている。いけねぇいけねぇ…、今後は女房もことも少しは考えなければイカンな…。還暦だもんな。

んで、今年もライヴをやる。還暦ライヴ。12月11日(土)の午後3時から、いつもの新宿「キャロルハウス」。今年は、「若い頃から、やりたくても、できなかった曲」が含まれている。ギンギンのハードロック。懐かしいなぁ。古き良き後楽園球場。何十台ものアンプから出る大音響が東京の夜空を襲った。あの曲だよ。しかも、ライヴバージョンでやろうと決めた。還暦じいさん達が、「あの頃」にタイムスリップして演奏する。カッコイイか、それとも滑稽になるか、面白いじゃねぇか。そういうライヴ。是非、見に!きて下さい。