第五章 不良老人を目指して
written by Akio Hosokai
さて、前章までは書くのは大変ではなかったが、この章はちと難しい。これからのことだから。まして超身勝手な男たちの将来など分かるはずもない。しかし、まあ、この先のThe Rainはどうなって行くのか、少しだけ考えてみよう。もうすぐ定年だから、老人ホームか何かの慰問でライブ演奏をやっているのだろうか。いやいや、メンバー自身が、一人そして一人と、老人ホームに入ってしまうのだろうか。そこまで行かなくても、杖をついてステージに上がって演奏するThe Rain、これまた杖をついたお客さんの歓声、いつしかそんなライブになるのだろうか。それこそオリジナルのRain Bandの歌詞にあるように、「…やるだけやるさ?」という感じかも知れない。 そもそも我々は、なんでロックバンドをやって来たのだろうか?なんで長い間ライブを続けて来たのだろうか?「不良になりたかったから」…正解かも知れないなぁ。「ロックを通じて、音楽の道を究めたい」…冗談も休み休み言えってぇんだ。「ロックやライブを通じて、人生の意味を考えていきたい」…ますます関係ねぇなぁ。正直言って、良く分からんな。今までのことすら何も分かっていないのだから、この先のことなんか分かるわけがない。言葉を換えれば、これから先の抱負だとか目標だとか、そんなものは何一つとしてない。
ただ、はっきりと言えることは、塚田はその歌唱力で初老のメンバーの尻を叩いてくれればそれで良い。屋代はサンタナ狂いのマジメなおっさんでいてくれればそれで良い。和田は正確にキーボードを弾いてくれればそれで良い。荒木は五体満足で太鼓を叩く力が残っていればそれで良い。細貝はベースの音量をもう少し絞ってくれればそれで良い。みんなで楽しくロックができればそれで良い。聴きに来てくれる人々が楽しいと感じてくれればそれで良い。ライブやスタジオ練習の後でうまいビールが飲めればそれで良い。だから、それこそ生きている限り、The Rainはロックを続けて行くだろう。
The Rainは我々の演奏を聴いてくれる人々に心から感謝している。The Rainがライブを続ける限りみんなに聴いて欲しいし、聴いてくれるみんながいる限りThe Rainはライブを続けていくだろう。ロックとはそういうものだと思う。そして何よりThe Rainはロックが好きだから。
感謝