第二十三章 穴があったら入りたい
written by Akio Hosokai
出遅れた蝉がやっと鳴き始めた。真夏の寒い雨の朝。それでも地上の生活を愛しむように懸命に鳴いている。何か変だ、平成23年のこの国。あまりに色々な事が起きたので、何も書く気がしなかった。文字にすると「その事実」を軽くしてしまうのでは…と怖れた。
東日本大震災、大津波、東電原発事故、政治の大混乱と無力化、「国民の公僕」から大きく遊離した官僚の価値観、電力会社や銀行の傲慢さ、歴史的な円高、外交能力の頼りなさ…。自然災害は別の次元として、怒りを通りこして、もう悲しみを感じることが多い今の日本。「明治維新」「太平洋戦争の敗戦」「そして今…」。もう遅すぎるかも知れないが、日本人である以上、一つ一つ丁寧に掘り下げる必要があるように思う。なぜ、こうなったのか…。
定番の軽いノリに戻すにはかなり抵抗を覚えるが、しかし、あえて軽く行ってみまする。
そういえば5月に遅ればせの「還暦ライヴ」をやった。当日に細貝の母が他界して延期になっていたライヴだ。ジジイが頑張っているのが受けたのか、キャロルハウスからの還暦スペシャルプレゼントが受けたのか。盛り上がった。いつものように、お客様には感謝の言葉しか見当たらない。本当に、ありがとうございました。
んで、歳だ!歳だ!と大袈裟に言っていたら、今年8月にFTBのジョー山中、そして屋代と細貝の高校時代からの友人が亡くなった。紛れもなく、そういう歳になったということだな。生きているだけでありがたいと思わないと、バチが当たるかも知らん。少しは感謝してまじめな生活をしないといかんな…。
しかし、ロックは続ける。
8月のバンド練習の時の話。カバーする新曲に「I shall be released」という歌詞があって、その前後にコーラスを入れるわけよ。「へぇ~、女から開放されるんかい…」などと馬鹿な気持ちでハモッテいたら、これが、大間違いだったんだな。そんなんじゃなくて、「死刑囚が開放される時は死刑が執行される時…」とかいう大変に重~い歌だったんだ。以前から「だからぁ、曲想を理解してさ…、もぉ~頼むよ~」なんて言っていたわりには、ほんと、「穴があったら入りたい気持ち」だぜ。ということで、「The Rain」は、また一つ、実践を通して学習しました、とさ。
5月にやったばかりですが、12月にもライブを開催します。日程は未定ですが、いつものキャロルハウスです。新曲もかまします。なにしろ前述のように、The Rainは、またもや学習したわけなので、その成果を、貴方の目と耳と口と心と体で、ぜひ確認して下さい。